豊田空間デザイン室

日々のこと
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『グレン・マーカット展』

updated: 2008年7月11日

 3週間ほど前に観にいったオーストラリアの建築家:グレン・マーカット展に非常に感銘を受け、早速、写真集とドローイング集を購入。2週間かけてくまなく読んだ 氏の建築は風土に根ざしているが、モダニズムにも通ずるデザインともいえる。ミースに多大な影響を受けているが、もっと土地固有の自然環境を取り込んだ建築に見える。
 今は地球環境のことが話題になりエコロジーが何かとテーマになるが、氏は数十年前から実践している。強い光や風は遮りながらも心地よい光や風は取り込む。「楽器」のような住まいと言っているとおり、屋根や壁、特に開口部は自然に対して可変する装置となり、音を奏でる感じがする。風土やエコというと野暮ったいデザインになりがちだが、実にシャープで美しい。オーストラリアにこだわって海外の仕事は断っているそうだし、スタッフもいれず、図面は全て自身の手描きである。72歳の今も現役で仕事をしている。Thinking Drawing/ Working Drawingと云う事だが、まさにCADでは考えられない、手を動かすことで創造が出来るということだと思う。美しいスケッチと図面はそれだけでも表現したい奥の深い何かを感じることが出来る。