豊田空間デザイン室

日々のこと
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『元日』

updated: 2009年1月1日

 2009年 元日

 「元」はその字の通りはじめの意で、一年の始まりの日。古くは「がんにち」と読み、「元日の節会(がんにちのせちえ)」に名残りがある。  元日は春の始まる日だから、立春でもあるが、陰暦では新年と立春が前後して来たので、必ずしも同日ではないようだ。
 正月の行事は、年が改まってからはじまるものではない  前月13日の煤(すす)掃きからはじまり、松迎え・餅つきと続き、松納め・骨正月までの一連の行事である。その頂点が、若水を汲み、屠蘇を祝い、初詣をする元日なのである。
 ここで「若水」は元来立春の宮中行事だったのが、民間に伝わって元旦の行事にかわった。宮中の行事ではこの水は旧冬の土用の初日に恵方を占って定め、封じておいた井戸から汲むものであった。それが、民間では変遷を経て、除夜の鐘が鳴り終わるとともに、年男が若水を汲んで雑煮をつくるという習俗が定着してしまったそうだ。

 二十日正月(はつかしょうがつ)は正月の終わりとなる節目の日。関西では正月に用いた鰤(ぶり)の骨や頭を酒粕・野菜・大豆などと一緒に煮て食べることから「骨正月」とも言われているようだ。
 一連の行事や風情は都会では少なくなったが、石川啄木が「何となく、今年はよいことある事し。元日の朝、晴れて風無し」とうたったように、元日を改まった特別な気持ちで迎えることは、昔も今もかわりない。