豊田空間デザイン室

日々のこと
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『冬の夜一人の旅人が』

updated: 2013年3月12日

「冬の夜一人の旅人が」イタロ・カルビーノ(千夜千冊…第1巻  6.時の連環記)
「文学の魔術師」イタロ・カルビーノbook   読み始めたかと思うと直ぐに中断してしまうこの小説は、それぞれまったく別個の物語の間で右往左往する「男性読者」とそれにまつわる「女性読者」というように、意表をついている。
この本を読み終えると、われわれは「男性読者」の介在によって、ばらばらの物語群が「冬の夜一人の旅人が」という一冊の本に織りなされていることに気づく、、読者はほかならぬ作者の機能をはたしていることになるのである。 
読むことと読まれることのあいだに、いくらでも世界が挿入される、、。 
カルビーノ は世界を分析的には見ようとせず、多様性に向って謎が拡散していくように見える。 世界は迷宮か図書館か廃墟だというように、、。