豊田空間デザイン室

日々のこと
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『名曲喫茶』

updated: 2008年10月26日

 名曲喫茶という呼び方は、昭和30年代ぐらいの頃だろうか。平成になってからも少しは残っていたが、段々姿を消している。新宿の「スカラ座」は名前は残ったものの、移転して地下街に入り、面影は無い。
 今日は都内に行った帰り、急に思い立って1年ぶりぐらいに渋谷の「名曲喫茶 ライオン」に行ってみた ここは昭和元年に出来たようだから、もう80年以上になる。といっても、終戦後建て替えられたそうだ。それにしても喫茶店としては古い。が、音は柔らかくてクラシックを聴くには非常に素晴らしいお客のほとんどは一人で入ってゆっくり聴き入っているので落ち着くが、何しろ内装も家具もとにかく古めかしい。砂糖入れも昔ながらのシルバーメッキ製だし、タイムスリップしたような感じだ。
 しかし、店内はかなり暗くて、本は多少読みにくい、、。それに禁煙席はないので、近くの席の人が喫煙すると、困ってしまう。椅子やテーブルもガタガタして、居心地が良いとはとても言えないのである。 比較して対照的なのは「スターバックス」。店舗によっては一人用の広くて寛ぐソファのような椅子も置いてあるし、照明も読書には丁度良い。コーヒーも「ライオン」より安いし、今時のエスプレッソ系?の味である  ので、結局は読書や設計のエスキースには、そちらによく行ってしまうのであるが、、。
 と、比べてしまうと、良い所が無いようであるが、それでも昔からの喫茶店には、足を向けたくなる何かがあるのである。 それは郷愁もあるかもしれないが、それだけでもない、、。

 この2週間ほどで、本は「たけくらべ」と「銀の匙」を読んだ。今日からノヴァーリスの「青い花」を読み始めている。何れも「名曲喫茶」で読むほうが、味わいがありそうだ。