豊田空間デザイン室

建築ノート
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『地下住居…ヤオトン』

updated: 2010年3月5日

 中国の民居は興味深いものが多いが、そのうちの一つに地下住居「ヤオトン」がある。 地下なので、「冬暖夏涼」で温度はほぼ一定。 こういう住居ができたのは、物凄い黄塵を防ぐのと、異民族の襲撃を避けるために、村が見えないようにするためだそうだ。 ヤオトンのある地方は、木材や石に乏しく、土があるだけで、その代り土質も掘りやすく乾燥して強度をますらしい  穴を掘る人力以外には費用が掛からないのが理にかなっているし、一族で住むために共同作業で掘るので、結局は工事費は無いようなものだ。
 地下といってもどういう形式化というと、先ず平地に四角い大穴(ほぼ10メートル四方で深さ6メートルぐらい)を掘る。 そしてこの中庭を中心に、横へ洞(幅3メートル、奥行き7メートルぐらいが標準)を部屋として掘っていくのである。 この洞はそれぞれ、ダイニングキッチン、寝室、物置だったりする。 断面も排気がし易いように、中庭に向って勾配がついている。
 しかし、このところ近代化の波でヤオトンもどんどん埋められてしまい、あまり残ってないようなのが残念である。

 話は変り、地下建築は、インドのアーメダバードで訪れたステップ・ウェルが面白かったが、これは地下深く(数十メートルのもある)へ階段で降りていく不思議な空間だった。 ただ掘るだけでなく、地下の石造建築、神殿である。 ステップ・ウェルについては何れ、スケッチも交えて、、ということに