豊田空間デザイン室

日々のこと
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『師走』

updated: 2008年12月12日

陰暦12月を「師走」というのは、語源として「奥義抄」に「僧を迎えて仏名を行ひ、あるいは経読ませ、東西に馳せ走るゆゑに、師はせ月といふを誤れり」とある。  

また、江戸時代の季語の解説集「増山井」には、師走のことを「春待月、梅初月、三冬月」と書かれているし、他にも5~6通りの呼び名があるようだ  今はあまり季節感はないが、古くからたどると、さすがに多く歌われている。

十二月(しはす)には沫雪ふると知らねかも梅の花咲くふふめらずして  <万葉集>

世に住まば聞けと師走の碪(きぬた)かな  <西鶴>

旅寝よし宿は師走の夕月夜   <芭蕉>

近代では、生活感を歌ったのもある

板橋へ荷場のつづく師走かな   <正岡子規>

座布団も綿ばかりなる師走かな  <永井荷風> 

万葉集の歌は、「紀女郎(きのいらつめ)」で歌の意味は「十二月(しはす)には淡雪が降るということを知らないのでしょうか。梅の花が咲いています。つぼみのままではいないで。 」という訳があり、女性らしい感性で梅を擬人化している。
今、永井荷風の「断腸亭日乗」の上巻を読んでいるが、年内には下巻まで読みたい。