豊田空間デザイン室

建築ノート
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『床の間』

updated: 2009年7月10日

もともと、民家の原型には座敷というものはないが、生活の向上とともに作られるようになった。しかし、「床の間」をもうけるのは、ある階級以上の家に限られていた。近年になり、一般の民家でも和室に床の間はつきものになったが、そこに飾る書画骨董を持たないと、テレビ置場にでもなりかねないのであった。
 江戸時代の住宅史「家屋雑考」によれば、「床の間」の起源は、鎌倉時代の釈家において、壁に仏画を掛け、前に厚板を置き、それに燭台・香炉・花瓶の三具足を置いたところから始まり、段々武家住宅にも取り入れられていったそうだ。
 他に書院造における上段小間が、簡素化されて「床の間」になったという説もあり、一段高く漆塗りの框を入れ、畳を敷き「上段床」と呼ばれている。今も正規の「本床」は畳を敷くのが常道である。