豊田空間デザイン室

建築ノート
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『柱割りと畳割り』

updated: 2009年10月3日

 民家の基準寸法(モジュール)は、中部を境に東北は柱の中心を測る、「心々制」である。1間の柱の心から心までが六尺(1.8メートル)なので、太い柱を用いた場合は畳の長さは短くなる。 また、1間梁間と2間梁間とでも違ってくるので、部屋の畳を敷きかえるという融通はきかない。 こういったやり方は「柱割り」といい、大工の作業能率は高く、近代的な生産システムと言える。
 これに対して関西以西では、早くから畳に馴染みが深かったので、基準寸法は内法制で「畳割り」という。 所謂京間、関西間は1間が6尺3寸で畳の幅は3尺1寸5分(955mm)である。柱割りは面倒だが、畳の寸法は同じで 入れ替えも可能だし、各室の内法サイズが畳の枚数を基準にできる。
 どちらが良いとは言えないかもしれないが、和室を造るケースが少なくなってきてしまった現代、考えたいことの一つである。