豊田空間デザイン室

建築ノート
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『民家の壁』

updated: 2008年11月11日

日本の民家の構造は、ほとんどが柱を建て、梁や桁を掛け渡して骨組みを作り、その間を土壁で塗りつめている これは柱の中心線に壁をつくるので「真壁」(心壁)という。これは瓦と同じで仏教建築とともに渡来したが、中世以降は一般の民家でも広まってきた。
真壁構造は構造に忠実で、材質の美しさをそのまま表して、簡潔明瞭な意匠であるといえる。そして、20世紀に西洋で始まった近代建築(モダニズム)にも通じるものがある 西欧はそれまでは、石やレンガを積んだ壁体で屋根などの荷重を受ける、所謂組積構造であった。
 壁の質感を見ると、土肌をそのまま残したものは親しみと温かみを感じるし、白く滑らかな漆喰仕上げとともに、黒ずんだ柱・梁等の木肌とよく調和している。それらの感触は日本人にとって、深く郷愁を感じるのである