豊田空間デザイン室

建築ノート
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『浮世絵の啓示…カウフマン邸』-1

updated: 2008年10月8日

今回はフランク・ロイド・ライトの「落水荘」
 ライトの作品は、国内では帝国ホテルや自由学園、アメリカではグッゲンハイム美術館、マリン郡庁舎等は観ているが、残念ながら「落水荘」は観ていない  
 ライトは水平を強調したプレーリー(草原)住宅を多く残しているが、建物の形は自然が教えてくれる、と言っている。また、大変な数の浮世絵の収集家としても有名。そのことが落水荘のデザインに大きな影響を与えているようだ  元々、施主のカウフマンは「滝を眺める家」を希望していたのだが、「滝の上に建つ家」を提案。 施主は拒否したが、「そんなことを言ってようでは、あなたはこの建築に値しない」と諭し、「滝を眺めるのではなく、滝と共に暮らすのです」と言ったそうだ。
 落水荘は、滝の上から跳ね出すダイナミックなキャンティレバーの水平ラインと垂直な石の壁の構成で、建築のみならず、20世紀を代表する芸術作品と言ってもいい。
 一方、内部へのエントランスも、明るいアプローチから石積の洞窟へ入るような暗さへと導き、それから一気に明るい開放的なリビングへと入っていく。そして、開放的なワンルーム空間ではあるが、天井はかなり低く抑え、その軽い圧迫感が居る人の意識を横長の窓へと導き、外に広がる自然を感じさせるのである
 また、リビングのガラスの蓋のような開口部を開けていくと、滝の下の水辺へとそのまま連続して降りていけるのである。 招かれたアインシュタインは、一気に階段を駆け下り、嬉しくて服のまま飛び込んではしゃいだそうだ