豊田空間デザイン室

建築ノート
archive

『浴室』

updated: 2010年2月9日

 日本人は気候のせいもあって一般的に風呂好きである  しかし、江戸時代中期に銭湯ができたのは都会であって、地方では水を汲み上げて風呂桶を満たすのは大変だったようだ。 また、薪と水があっても風呂を沸かして楽しむ余裕もなかったのである。 今ではリモコンのボタン一つ押すだけで済むのだが、、。
 銭湯のことを関西では風呂屋と呼び、関東では湯屋という。 その由来は、風呂は蒸し風呂形式の発汗浴、湯とは水を沸かして浸る温湯浴からきているらしい。
 この「ゆ」の語源は「斎(ゆ)」で、清浄を意味するそうだ。 これは、水浴びをして身を清めることが沐浴(ゆあみーみそぎ)であった。東南アジアでもガンジス川の沐浴は有名である。

 ところで、風呂の「風」は空気、「呂」は囲う意味で、風の通らない密閉空間なのである。サウナ風呂や日本の窯風呂などは、発汗浴、乾気浴、蒸気浴になるが、元は水の乏しい中央アジアが発生であり、水の豊かな東南アジア系は沐浴になるそうだ。 現代の住まいでは当たり前のようにある浴室だが、風土との繋がりや歴史を遡ると奥が深い。