豊田空間デザイン室

日々のこと
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『継承と変奏』

updated: 2008年11月13日

 もう今週で終了なので、「大琳派展」に行ってきた。からっとした快晴で上野の森も清々しい  しかし、大変な人並みで、入口では数百人が待っているし、入ってからも人をかき分けてみるような感じではあった。
 それはさておいて、今年は尾形光琳が生まれて350年目とのことで、大掛かりな琳派展が三十数年ぶりに開かれたそうだ。 本阿弥光悦・俵屋宗達・尾形光琳・尾形乾山・酒井抱一・鈴木其一の6人の江戸を代表する芸術家の作品が系統的に展示されている。 今回の目玉の一つは、江戸時代初期に描かれた宗達の「風神雷神図屏風」が、琳派の画家によって描き継がれ、琳派を象徴するものとなっていることだ。 すなわち、宗達を光琳が模し、さらに光琳を抱一、其一が模しているという風に、比較して見る事が出来る。
 風神雷神図も勿論良いのだが、宗達画・光悦書というコラボレーションによる「古今和歌集和歌絵巻」は間の取り方、空間の埋め方、色彩と形の柔らかさ、色の響きあいに魅せられた。
 光琳は「紅梅図屏風」や「燕子花図屏風」が有名であるが、「竹梅図屏風」の大胆な構図と、金箔地に直接墨の濃淡のシルエットのみで描く感性が洒落ている。
 抱一は「十二ヶ月花鳥図」の洗練された構成と余白の生かし方がみごとと言うほか無い。「四季花鳥図巻」や「槙に秋草図屏風」もそうであるが、細やかな自然観察による写実性と画技が典雅な形式美、造形感覚へと昇華されている。