豊田空間デザイン室

建築ノート
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『縁側…①』

updated: 2009年11月15日

<濡れ縁と入側縁>
 和風住宅に縁側はつきもの。 日本は多雨多湿なので、深い軒を持った縁側のような広い開口が必要であった。 採光の面よりは、開放的で風通しをよくする目的もあった。
 近代の縁側は座敷境に障子をはめ、外に面してはガラス障子(現在はアルミサッシ)、夜間の戸締り用として1本引きの雨戸(これもアルミ)が建てられる。 この縁側は正式には「入側縁」と呼ばれる内縁である。 つまり、縁側は室内空間であるが、神社やお寺の周縁のように、建具無しの吹き放しの「濡れ縁」が本来のもの。  これでも庇は深く突き出ていて雨はかからないし、適当な日陰もあって、全くの屋外とは違う環境である。お寺の縁に座り、ぼーっと庭を眺めているひと時の心地よさは、日本ならであろう。

 どちらにしても、縁は室内と外界を有機的に結びつけ、中間的な空間「過程空間」、「第三空間」でもある。