建物名の由来でもある約9坪の狭小地に3階建+塔屋、ルーフテラスの断面構成です。外観はグレーの濃淡で、ダークグレーを逆台形状(楔型)に組み合わせたのが特徴です。その下部のエントランスを窪ませて、迎え入れる奥行き感を演出しています。狭小住宅ですが、階段を中心にして用途を各階で明快に分けつつ、平面・断面を構成しています。狭小住宅の場合は特に<造作家具,設備>が空間の質を決めるので、拘って設計をしました。各階の構成は1Fがエントランス、収納、スタディルーム。中間の2Fに寝室、洗面・浴室等のリフレッシュエリア。3Fはキッチン・ダイニングで天井を高くして、明るく奥行き方向の端から端までを伸びやかにダイニング・キッチンカウンターとしています。屋上はルーフテラスで、庭がない分を補う外部スペースとなります。
道路側間口は約4.2mと狭く細長い3階建ですが、グレー濃淡の塗壁を斜めに塗分けてシャープな外観となりました。エントランスは奥行きをもたらし、誘うにように窪ませています。
玄関ホールベンチ、収納、クロゼット、ニッチ。ホールはタイル貼りで段差無しです。
エントランスの奥はスタディールーム。長さ2.7mのロングデスクを造作して、上下・脇に書棚を設けています。奥の縦長窓面はアルミ製4段のディスプレイ棚です。
ダイニングの壁・天井とも他室と共通でグレイッシュな塗壁仕上げです。ダイニングカウンターはキッチンの延長で伸びやかに続きます。壁に彫り込まれたニッチのデザインが空間を特徴づけています。大テーブルは6~7人が座れ、テーブルやベンチ下は収納も兼ねます。ペンダント照明はPeter Ivy作です。
キッチンカウンターはバイブレーション仕上。ダイニングカウンターから同じ高さで連続しています。扉・引出しはシナ合板にOPシルバー塗装でグレイッシュな空間にマッチさせました。収納量も豊富です。長さは建物の端から端まで合計約6メートルになります。吊戸棚はガラス入りでデザイン。カウンター前のタイルは厚さ13mmの黒に近い濃紺色で質感があります。水栓、IHクッキングヒーター、電気オーブン、食洗機類は外国製でデザイン・機能とも充実しています。パントリーには造作のキャスター付き家電収納ワゴン、キッチンのサイドワゴンを兼ねたダストボックスを備えました。
主寝室は狭小ながらベッド台(下部収納)やサイドテーブルを造作しています。洗面・バスルームは一室ですが、シャワーカーテンを付けました。床は浴室用のタイル貼り、壁・天井はライトグレーのFRP防水です。水栓金具の仕様やバスタブは置き型でホテル風。洗面室は端までの鏡+メディシンボックス、置き型の洗面ボウル、カウンター下にはコンパクトに外国製の洗濯乾燥機が納まっています。最後の写真はトイレの手洗い器です。
階段室は外壁側の壁厚を増して、半円に彫り込んだ上、手摺りを出ないように工夫。更に様々な形の藍色のニッチを彫込み、狭小の階段の窮屈さを和らげて変化を楽しめるようにしました。
狭小地のため庭はありませんが、ルーフテラスを設けて開放感を味わえます。プランターやベンチ・テーブルを置き、楽しめるスペースです。