豊田空間デザイン室

建築ノート
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『暗室としての寝間』

updated: 2009年6月30日

住まいの機能でもっとも大切な要素は寝るための空間である。人がはじめに家をつくった目的は、そこをねぐらとするためであった。 原始の住まいは全体が一室で、全てが寝るための空間であったが、そこに色々の生活要素が持ち込まれて、最初に分化したのが寝室であった。古い民家の寝室は非常に狭く、暗室のような空間で、貴重品も納める納戸としても用いられたらしい。
 それが、現代和風住宅では寝室として限定せず、寝具とその収納空間が発達し、昼間は他の用途のために用いる万能のものとなっている。  さらに、それが今は洋風な住まい方に変り、主に寝室としての機能のみになってきているのは興味深い。