豊田空間デザイン室

建築ノート
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『縁側…②』

updated: 2009年12月22日

<手仕事・社交の場としての縁側>
 農村の縁側は鑑賞庭園に面したものとは違い、穀物を干す、機織(はたおり)をする、糸繰り機をおいて、糸をつむいだりする手仕事の場所としても使われた。 また、雑穀を干したり、農作業の合間の茶飲み場所や、老婆が孫の守りをしながら針仕事をする場所でもあった。  さらに、農家に限らず、夕涼みや線香花火、将棋などを楽しむ場所でもあった。
 通りががりの人は、そこにいる人に声をかけたり、立ち寄って縁に腰をかけて世間話をしていく。 座敷での格式ばった応対や、野良での立ち話と違い、気軽な社交の場となっている。
 このように、「内…私的生活」と「外…公的生活」との出会いの場所でもあったのである。「縁」と言う言葉には人と人との結びつきを表現する「ゆかり」とか「ちなみ」などの意味がある。 また、「へり」とか「ふち」という意味もあって、家の周辺をさしている。
 いづれ、自宅を再考する時に取り入れたい、大切なことだと考えている