豊田空間デザイン室

建築ノート
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『障子と襖…①』

updated: 2009年7月30日

 明るい陽射しを受けた障子が、深い軒の影を落として白く輝いている光景は、日本の住まいをもっともよく表している。紙を通して広がる室内のやわらかな拡散光は、カーテンのレースなどとは比べものにならない。
 また、障子の持つ詩情として、次のようなシーンが思い浮かぶ。   月夜の夜など、肌寒さに障子を閉めると、ほのかな月光が障子にさし、さやさやと風に動く木影も写って見える。 日の暮れた旅の夜道を急ぐ時、田舎家の障子に一家団欒のさまが、影絵のように映って、にぎやかな笑い声が聞こえる、、などなど、現代ではあまり見慣れないかもしれないが。
 このように障子は家の内外を隔てながらも、サッシュのように断絶性がなく、内外の息づかいが通う有機的な自然との結びつきがある。
 何れ自宅を建て替える時は、平屋で軒を思い切り深く出し、サッシは無しにして、開口部は障子と雨戸だけにしたいと考えている。