豊田空間デザイン室

建築ノート
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『日本の民家について-1』

updated: 2008年9月3日

「民家」と聞くと田園風景に佇む田舎の茅葺屋根を想像するが、少なくとも伝統に基づく住まいであるといえる。歴史を遡ると大昔の岩陰や洞穴は建築物とはいえない  住まいらしきものを作り始めたのは旧石器時代後半からぐらいらしい。   その資材は勿論近くにある土、石、樹木等の類であろう。  私たちの祖先は自然にかなった生活を営み、自然と密着した文化を永い時間をかけて培ってきたのである。  その形は、農業から始まり、養蚕・畜産・林業などの生産とも深く結びついているし、地形の複雑さや気候の多様性も民家のつくりに変化を与えている。  また、木造の架構という自由さや機能からくる美しさは地方色が濃く表れているといえる。
 以前はよく民家・町並みをスケッチしていたが、もうかなり失われてしまっているのは残念である。  それに、保存された民家だと絵には描けるが、人の住む活気や安らぎ、温かさは感じられない。 日本の民家の本質は、壁に荷重を架けない柱・梁の架構、軽くて移動可能な間仕切り装置、養蚕などの仕事場や接客に対する自由性等である。その精神を将来の建築文化に生かしていく必要がある。
 まずは原始時代に遡るが、日本の民家の歴史をたどってみるのは住まいを考える上で意義あることだと思う。