豊田空間デザイン室

建築ノート
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『聴竹居』

updated: 2008年12月9日

前回に引き続き、昭和初期のモダニズム住宅…今回は藤井厚二氏設計の「聴竹居」。 氏は20代の頃は、私が勤めていたゼネコンにおられた。

この住宅はモダニズムと日本の数奇屋を融合させた直線的デザインで、かのブルーノ・タウトも桂離宮とともに訪れ、その造形に驚嘆したといわれる名建築である。  デザインのみならず、夏季の風の通り道、冬季の光の入り方、断熱性の配慮などに試作を重ねて造られている。 今で言う「環境共生住宅」といえるのである  設備面でも、水洗トイレ、電気温水器によるシャワー、電気冷蔵庫、各室のコンセントなど等、当時としては斬新であった。

デザイン、環境工学、設備、どこから見ても住宅史に残る名作であるが、やはり修繕費がかかり、維持が大変なようである。 そういったことから最近、一般公開を始めたようだ。 ブルーノ・タウトにあやかり、桂離宮とともに見学に行きたい。