豊田空間デザイン室

建築ノート
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『言語と住居』

updated: 2008年9月20日

「住居の発見」から、、

 日本語のスマイは、住み居る、即ち住居を意味する住まうとは「栖」であり、スミのミは接尾語、この進行形がスマヒで、続けて住むことになるようだ。また、「住む」とは澄むに通じ、落ち着く意味だそうだフランス語やギリシャ語なども同様で、「定住」ということが住居への出発らしい。
 「イヘ」の場合も、イは接頭語でヘは即ち容器。坏、盃、杯の字音ハイと同語で、これがヘとなっている。この「へ(容器)」が「戸(ヘ)」となる。イヘは「建物」を意味していたのだが、同時に自宅、わが家、妻も意味し、更に家族、一族、家柄、門地にまで及んでいる。
 「ヤ」は屋蓋を意味し、ヤネ、アツマヤといい、葺く草はカヤで、更には家の上を蔽う屋根、人の住むところ、すみか、いえとなり、商家の屋号にまでなっている。
 「コ」という音もトコロ、あそコ、みやコ(都)といい、これがなまってカとなり、ありカ、すみカになったらしい。「ト(タ、チ、ツ)」は田、道、津で、またト(門)ソト(ソト)につながる
 また、カマドも本来は火を焚くところの意味で、フランス語やギリシャ語でも家を表す言葉は火のある所につながり、東西共にカマドが生活の中心というのが興味深い。食生活が「生活の安定」をもたらし、それは火をつくるということをもって、もたらされるということだろう。
 再びギリシャ語だが、建築という意味のアルキテクトニケは「第一の技術」を表していて、中でも家をつくることは、最も根源的な技術だったと言われる。また、「家庭」を意味するオイコノミアはエコノミー(経済)という語のもとになるが、家計の切り回しだけでなく「全体の中で部分の調和していること」、という思想がかくされている、、というのも興味深い