豊田空間デザイン室

建築ノート
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『ひとをつくる空間の美学』

updated: 2008年9月10日

現場の帰り道、汐留ミュージアムで「村野藤吾・・・建築とインテリア」展を観てきた。
今さら村野さんの建築を語るまではないのだが、前川国男、丹下健三のインターナショナルスタイルの時流のなかで、孤高に独自のスタイルを貫いた方である。ややもすれば、装飾・ディテールにこだわり過ぎで建築構成が見え難い等と言われることもあるようだが、けしてそんなことはない。

村野さんの建築論はさておいて、実は私は氏の大判の図面集(16巻)を持っていて、その密度の濃いなかなか解読出来ないぐらいの図に魅了される。図面に余白がないぐらい描き込むように指導していたそうだ。

図面もそうだが、スケッチ帳や日記、スクラップブックなどの展示も観る事が出来てよかった。大変な量のスケッチ・メモなどがあったそうだが、完成模型や完成された建物よりこういったスケッチ、スタディ模型を見るのが好きだ。とても及ばないが日頃から手を動かさねばと思う。

新高輪プリンスホテルなど大きなプロジェクトも手掛けた村野さんだが、高齢になり、何と92歳の時にスタッに任せないで、自ら宝塚から糸魚川の谷村美術館の現場へ出向いて指導したそうだ。 作ることへの意欲に年齢は関係ないのである。