「グレゴリア聖歌」を聴くようになったのは、20数年前ぐらい詳しくは専門書などを参照したほうがいいのだが、ヨーロッパでは最古の音楽、クラッシックの源流と言われる。
ハーモニーなし、旋律線はひとつだけで、全員が同じ音や旋律を奏して歌われる単純きわまりない曲だが、聴いていると、力強く訴えるような迫力に満ちており、聴けば聴くほど、音の中に耽溺して酩酊状態に陥ることがあるくらい、不思議な魅力がある 「癒しの音楽」と言われる所以だが、音楽とも祈りの言葉とも言えない響きがある。
やや、解説のようになってしまうが、音楽的に分析すると、これらの旋律や音は人間の耳にとってストレスの無い自然な音「純正率」になるそうだ。バッハ以降の「平均率」はオクターブを科学的に平均化してしまっているため、「純正率」から微妙にずれが生じ、ストレスになるようだ。 東洋には「声明」があるが、聴いていると同じように浸ってしまうので、東西とも音の心地よさは同じなのかもしれない。
ヨーロッパを旅して、ロマネスク教会の心休まる空間とスケールの中で、ボーっとしていると、「グレゴリア聖歌」が生まれ、歌い継がれた時空が想起され、中世に迷い込んだような気持ちになる。