陰暦12月を「師走」というのは、語源として「奥義抄」に「僧を迎えて仏名を行ひ、あるいは経読ませ、東西に馳せ走るゆゑに、師はせ月といふを誤れり」とある。
また、江戸時代の季語の解説集「増山井」には、師走のことを「春待月、梅初月、三冬月」と書かれているし、他にも5~6通りの呼び名があるようだ 今はあまり季節感はないが、古くからたどると、さすがに多く歌われている。
十二月(しはす)には沫雪ふると知らねかも梅の花咲くふふめらずして <万葉集>
世に住まば聞けと師走の碪(きぬた)かな <西鶴>
旅寝よし宿は師走の夕月夜 <芭蕉>
近代では、生活感を歌ったのもある
板橋へ荷場のつづく師走かな <正岡子規>
座布団も綿ばかりなる師走かな <永井荷風>
万葉集の歌は、「紀女郎(きのいらつめ)」で歌の意味は「十二月(しはす)には淡雪が降るということを知らないのでしょうか。梅の花が咲いています。つぼみのままではいないで。 」という訳があり、女性らしい感性で梅を擬人化している。
今、永井荷風の「断腸亭日乗」の上巻を読んでいるが、年内には下巻まで読みたい。